2025年7月25日●電子書籍『トランプ帝国クロニクル』(全30巻予定)を発売中

この4月から、電子書籍『トランプ帝国クロニクル』(全30巻の予定)をKindle版で発売。事務所の新江章子さんが、精力的に作成してアップしてくれ、すでに10巻以上がラインナップされている。

以下が、そのラインナップ。ラインナップ後に、「まえがき」の全文を掲載する。

トランプ帝国クロニクル(1)ヒラリーvs.トランプ
トランプ帝国クロニクル(2)トランプ大統領誕生
トランプ帝国クロニクル(3)分断されるアメリカ
トランプ帝国クロニクル(4)新階級社会の出現
トランプ帝国クロニクル(5)オレ様政治と後ろ盾
トランプ帝国クロニクル(6)大統領を弾劾せよ!
トランプ帝国クロニクル(7)北朝鮮を懐柔せよ!
トランプ帝国クロニクル(8)米朝首脳会談実現まで
トランプ帝国クロニクル(9)破壊される世界秩序
トランプ帝国クロニクル(10)アメリカファースト
トランプ帝国クロニクル(11)ドナルド・シンゾーという幻想
トランプ帝国クロニクル(12)コロナ危機と大統領選挙
トランプ帝国クロニクル(13)バイデンに敗れホワイトハウスを去る
トランプ帝国クロニクル(14)苦悩するバイデン政権
トランプ帝国クロニクル(15)2024大統領選挙は「老々対決」
トランプ帝国クロニクル(16)バイデン撤退 トランプvs.ハリス
トランプ帝国クロニクル(17)赤い州と青い州
トランプ帝国クロニクル(18)トランプ2.0始動
トランプ帝国クロニクル(19)トランプ2.0 Who’s Who
トランプ帝国クロニクル(20)関税とドルの行方
トランプ帝国クロニクル(21)正体は「裸の王様」
トランプ帝国クロニクル(22)トランプ・リセッション
トランプ帝国クロニクル(23)アメコミ劇場政治
トランプ帝国クロニクル(24)覇権後退と債務の上限危機
トランプ帝国クロニクル(25)以降は、未定。

…………………………………………

トランプ帝国クロニクル「まえがき」

2016年の大統領選挙の予備選で、当初、トランプは泡沫候補、色物候補でした。テレビで名前が売れていたのでセレブはセレブでしたが、政治経験はゼロ。演説もわめき散らし、しかもヘイトスピーチそのものでしたから、大統領になるなど、誰もが夢にも思いませんでした。

予備選第2弾のニューハンプシャーで、私は初めて彼の演説をじっくり聴きました。そして、正直、目眩を覚えるほど驚いたのです。自分が、アメコミの世界にいるのではと錯覚しました。

「アメリカ国内に住む不法移民1100万人を強制退去させる」
「メキシカンはレイプ魔だ。叩き出せ!」
「国境に万里の長城をつくる」
「世界同時株安は中国、お前らのせいだ!」
「プーチンとは仲良くなれると思う」
「地球温暖化?そんなものはただの天気だ」
「(ISに対して)私は彼らをとことん爆撃しまくる。彼らを叩き潰す」
「私はアメリカを再び偉大にする!Make America Great Again(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」

これを聴いて、彼が言っていることが全部実現したら、アメリカはアメリカではなくなる。自由と民主主義の世界は消え失せ、独裁者に支配された帝国が出現するのではないかと思ったのです。
それが本当に実現しかかったのが、トランプ第1期政権(2016〜2020年)です。ただし、この政権は、トランプの“オレ様主義”に呆れた有能なスタッフが次々と辞任、更迭されたため、機能しませんでした。
帝国内は分断され、次の大統領選でトランプは、老害が心配されるジョー・バイデンに敗れたのです。トランプはバイデンを「スリーピイ・バイデン(Sleepy Biden)」(居眠りバイデン)と呼びました。

2020年1月、トランプは大統領選での敗北を認めず、支持者たちを扇動して連邦議会を襲撃させたのです。これは、前代未聞の事件でしたし、民主主義の否定ですから、司法で裁かれて当然です。よって、トランプは完全に表舞台から姿を消すはずでした。
ところが、トランプは復活してしまったのです。
コロナ禍によって疲弊し、荒んだ人々の心を以前と同じように焚きつけ、対立候補カマラ・ハリスを「ラーフィン・カマラ(Laughin’ Kamaraお笑いカマラ)」「DEI副大統領」と呼び、大統領に返り咲いたのです。

2025年1月20日、トランプは大統領として2度目の就任式に臨み、「これからアメリカは黄金時代を迎える」と宣言しました。そうして、就任初日から大統領令(executive order)を連発し、「連邦議会襲撃事件の有罪人すべてに恩赦を与える」「性別は男と女の2つだけにする」「パリ協定から離脱する」「WHOから脱退する」「メキシコ湾をアメリカ湾にする」などの政策を次々に打ち出しました。
さらに、「グリーンランドを寄越せ」「カナダはアメリカの51番目の州になれ」と言い、敵国、同盟国の見境なしに関税をかけまくりました。

第2期トランプ政権の閣僚は、第1期政権と違い、トランプの“忠犬”“茶坊主”ばかり。誰も、この大統領に異を唱えません。ボスが言うとおりに、大統領令による政策を忠実に実行しました。
本来なら歯止めをかけるべき議会といえば、上下院とも共和党がマジョリティ。そして、共和党はいまや完全にトランプ党と化しているので、トランプのやることはすべてスルーとなりました。また、司法といえば、最高裁はトランプの息がかかった判事が半数以上で、こちらもストッパー足り得ません。トランプは、まさに独裁者になってしまったのです。

このようにしてついに、トランプ帝国は出現してしまいました。
ニューヨークが愚か者に支配されたゴッサム・シティというのは、アメコミの世界ですが、トランプのアメリカはアメコミそのものの「ゴッサム国」になってしまったのです。自由と人権、民主主義の国アメリカは過去のものとなり、醜悪な帝国となってしまったのです。

しかし、岩盤支持者たちもようやく、トランプに騙されたことに気づき出しています。トランプは「裸の王様」にすぎないのですから、「王様はハダカだ」と国民が声を上げるときが迫っています。そのときは、2026年の中間選挙でやって来るのか? それとももっと早くやって来るのか? それはわかりません。ただ、このまま何事も起こらなければ、アメリカは本当に愚かな老人に支配された独裁国家になってしまうでしょう。

本書は、私がメルマガで発信してきた、トランプ登場以降の記事3〜4本を1冊として、年代順に編集したものです。2015年の大統領選挙から2025年の第2期政権の誕生まで、約10年間のアメリカのクロニクルです。ただ、このクロニクルは、トランプが表舞台から消えない限り今後も続いていくので、新しい記事が3〜4本まとまり次第、1冊にまとめて、さらに発行を続けていきます。

一般的にクロニクルは、著者の主観、意見を交えない年代記です。しかし、トランプという特異な人物だけに、そうはできません。できるわけがありません。それでも、クロニクルと題したことをお詫びします。
本書は、トランプという稀代のポピュリストにより、愚者が支配する帝国となってしまったアメリカの現代史です。いま進行中の出来事です。2025年 山田順